2020年4月から、再エネ特措法に基づく事業計画策定ガイドラインにおいて、出力10kW 以上の太陽光発電設備については、災害等による発電事業途中での修繕や撤去及び処分に備え、火災保険や地震保険等に加入することが努力義務となりました。
また、発電設備の異常もしくは、破損によって地域への被害が発生した場合、関係者以外への損害賠償が発生するおそれもあるほか、さまざまなリスクに対応できるよう備えをしておかなければなりません。
「火災保険」や「地震保険」では、自分の発電所の被害は補償されますが「飛散したパネルが近隣住民や民家に損害を与えた」など、第三者に被害を与えた場合には保障対象にはなりません。そのため、そうしたケースに備える場合には「第三者の被害に備える保険」に加入する必要があります。
太陽光発電システムにかける保険のなかには、施設所有(管理)者賠償責任保険と呼ばれる保険があります。施設所有(管理)者賠償責任保険とはどんな保険なのか、保証内容も合わせて紹介します。
自然災害や太陽光発電設備の管理不備といった理由で、第三者に損害を与えてしまった場合に備えておく保険を指します。
以下のようなケースで補償を受けられます。
施設所有者賠償責任保険では、残存物片付け費用やお見舞金なども、事故時の発生費用として受け取れるのが特徴です。
「火災保険」は発電所に対する保険です。第三者への被害は補償対象外となっているため「施設所有者賠償責任保険」で備える必要があります。火災保険にセットでつけるケースもあるのが特徴です。
太陽光発電システムが老朽化すると、廃棄処分をしなければなりません。それに備えて、廃棄処分用の費用についても考えておく必要があります。費用面や補償などに不安を抱える方も多く、対策するため、廃棄費用の積立や保険商品などもあります。
「エネルギー供給強靭化法」と呼ばれる法律の成立に伴い、太陽光パネルの廃棄等の費用を確実に担保することになりました。FIT(固定価格認定制度)の11年目から20年目は外部機関により、廃棄費用を積み立てる制度が2022年7月から開始となりました。
積立前や積立中に、自然災害が発生し太陽光発電事業が縮小したり撤廃したりする可能性はゼロではありません。そのような事態に備え、あらかじめ保険に加入し、対策を講じる必要があります。
保険金は、保険会社に請求しなければ振り込まれません。ここでは、流れと必要書類について解説していきます。
損害を確認後、速やかに保険会社もしくは、保険代理店に連絡をします。保険証書や契約書類といった書類に連絡先が記入されているため、確認しましょう。
保険会社へ連絡する内容は以下の通りです。
施工会社へ見積もりを依頼します。状況を伝え、修理にかかる費用の見積もりを依頼しておきましょう。
加入している火災保険など内容を確認し、今後の進め方や補償内容について説明してもらいます。
保険金の請求にあたり、必要書類の準備もしておきます。損害状況によっては「罹災(りさい)証明書」と呼ばれる書類が必要となる場合もあります。また、損害箇所の写真を提出するよう言われる可能性もあるため、あらかじめ事用意しておきましょう。
準備する書類は以下の通りです。
調査をもとに保険金の支払いが行われます。入金後は明細などが届くので、契約通りに支払われているか確認しましょう。
大手の保険会社で取り扱っている賠償保険はどのようなサービスなのか気になるところでしょう。ここでは、大手保険会社の保険商品を一部解説します。
損保ジャパン株式会社は、自然災害により被災した太陽光パネルの保険金の支払い時に、リユース(再使用)・リサイクル(再資源化)できる業者を紹介し、これまで廃棄されていた太陽光パネルを再活用するための取組みを開始しました。
太陽光発電システムが被った物的損害、事故による操業停止や営業停止に伴う売上減少による利益損失を補償してもらえます。損傷した太陽光パネルのリユースまたはリサイクルの可能性を判断し、提携する業者を紹介してもらえるサービスがあるのが特徴です。
太陽光発電システムの所有、使用もしくは管理に起因して発生した事故により、関係者に身体障害を負わせてしまったり財物損壊を与えたりした場合、太陽光発電システムの所有者や事業者など補償の対象となる方が法律上の賠償責任を負担することによって、被る損害を補償してもらえます。
保険会社 | 損保ジャパン |
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URL | https://image.sompo-rc.co.jp/infos/20211101_1.pdf |
「廃棄費用&損害賠償保険」は、東京海上日動が開発したオリジナル商品です。一般社団法人太陽光発電協会を団体契約者として定められています。基本補償は、太陽光発電設備の欠陥や、施設の内外で行われる仕事の遂行に起因して生じた対人・対物事故について、被保険者が負担する損害賠償責任を補償してもらえます。
対人・対物事故が発生した際に支出した初期対応費用はもちろん、事故発生時の対応や事業継続のための費用も補償されるのです。
オプションは以下の通りです。
保険会社 | 東京海上日動 |
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URL | https://www.web-tac.co.jp/solar/ |
「ビジネスキーパー(事業活動総合保険)」「施設所有(管理)者賠償責任保険」は、事業活動をとりまくさまざまなリスクによる損害をまとめて補償してもらえる火災保険です。建物や屋外設備や装置、設備・什器等、商品・製品等、家財などの財物が損害についても補償の対象です。屋外設備や装置は、建物を除き、地面等に定着している門や塀、垣、タンク、サイロ、井戸、太陽光発電設備等が保険の対象となっています。
オプションは以下の通りです。
自然災害や太陽光発電設備の管理不備が原因で第三者にけがをさせてしまった場合に備えて、保険に加入しておくと安心です。また、太陽光発電システムの老朽化による廃棄処分の費用の積み立てをしたり保険に加入したりしておくのもよいでしょう。
さらに安全や安心を求めるなら、有償メーカー保証に入っている販売店や設置業者に依頼すべきでしょう。
保険会社 | 三井住友海上 |
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URL | https://www.ms-ins.com/business/property/biz-keeper/ |