太陽光発電システムの保守点検内容、およびメンテナンスに掛かる費用について解説します。
太陽光発電システムのオーナーは、電気事業法第39条又は第56条に基づき、経済産業省令の定める技術基準に適合する状態にシステムを維持するよう義務付けられています。
出典:電気事業法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339AC0000000170
太陽光発電システムは、電気事業法第39条又は第56条に基づき、経済産業省令の定める技術基準に適合する状態に維持しておく必要があります。そのための具体的基準として参考となるのが、一般社団法人日本電機工業会と一般社団法人太陽光発電協会が公表している「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」。以下、同ガイドラインに記載されている保守点検の概要をご紹介します。
※出典:太陽光発電システム保守点検ガイドライン
https://pita.or.jp/wp-content/uploads/2020/01/f8d37a11f07c47aa7728200bc0e30b7e.pdf
太陽光パネルは常に野ざらしとなっているため、飛来物等により破損する可能性がゼロではありません。パネルが破損すれば正常な発電ができないため、全体を目視等で細かく確認します。
パネルのボルトが緩んでいないかどうかを目視で確認し、もし緩んでいれば、必要に応じて締め直しをしたりボルトの交換を行ったりする必要があります。
ボルトが緩んでいると、台風などが発生した際にパネルの飛散や故障を招く恐れがあるため、確実にメンテナンスを行わなければなりません。
長時間にわたり野ざらしにされているパネルには、ホットスポットと呼ばれる部分が生じることもあります。ホットスポットとは、鳥の糞や雑草の付着等の影響で発熱する部分のこと。目視だけではなく赤外線サーモグラフィなども使用してホットスポットの有無を確認し、もし発見されれば適切な清掃を行って除去する必要があります。
パネルが性能通りの発電量を維持しているかどうか、測定器を用いて正確に確認します。モニターを設置している場合には、モニターを通じて発電量を確認することも可能です。
パネルのメーカー保証を受ける際には、定期的な発電量を記録の上、客観的なデータを示すことが必要です。
パネルやケーブルに流れる電流が規定値以上となっていないかどうかを確認するため、絶縁抵抗値を確認します。もし規定値以上となっていた場合、感電や漏電の危険性があるため、速やかに適切な処置を行わなければなりません。
パワコンを中心に、汚れや悪臭、異音、フィルターの目詰まりの有無を確認します。パワコンの寿命は概ね10~15年とされているため、太陽光発電設備を維持している間、最低でも1回は交換や修理が必要になると考えておいたほうが良いでしょう。
ちなみにパワコンの交換費用は20~30万円で、修理費用は3万円ほど。メーカーの保証期間内におけるトラブルならば、無償交換となる場合もあります。
送電ケーブルやケーブル等の接続部分に劣化・損傷がないかどうか、目視にて確認します。もし、これらの部分に異常が見つかった場合、発電効率の低下やケーブル焼損などにつながる恐れがあるので、速やかな対処が必要となります。
太陽光発電システムのメンテナンスに掛かる費用(概算)を確認しましょう。
住宅用の太陽光発電システムのメンテナンス費用は、1回あたり5~10万円が相場となっています。
多くの場合、住宅用は屋根の上に太陽光パネルを設置していますが、もしメンテナンスに足場を組む必要があるならば、別途で足場代も掛かることになります。
なお、住宅用の太陽光発電システムのメンテナンスは、改定前ガイドラインに従って4年に1度の頻度で行われる場合が多いようです。
産業用(50kW未満)の太陽光発電システムのメンテナンス費用は、年間で10~15万円が相場となっています。
年間の点検回数、点検項目の種類などにより、さらに費用が高くなることもあります。
50kW以上2000kW未満(高圧)、または2000kW以上(特別高圧)の産業用太陽光発電システムのメンテナンス費用は、年間で100万円~200万円/MWが相場となっています。例えば2MWの高圧システムの場合、年間のメンテナンス費用は200~400万円が相場です。
もし点検で修理・交換が必要となる箇所が発見された場合、定期的なメンテナンスとは別途で費用が掛かることになります。
修理・交換の費用相場としては、例えば太陽光パネルの場合が1枚あたり10~15万円、パワーコンディショナーの場合が10~40万円程度(部品交換なら10万円程度)となるでしょう。