電気代節約のために太陽光発電システムを購入しても、当該システムにかかる費用は、決して安くないものです。にもかかわらず、ショートや作動エラーによる故障、台風や豪雨などの水災による損害等が起こる可能性があります。こういった突発的な事故等によって太陽光発電システムが損害を被った場合のために、保険に加入しておくことをおすすめします。
太陽光発電にかかる保険は、機器に不具合が起きた場合に保証されるメーカー保証とは異なり、台風や落雷、降雪などの自然災害による損害に対応しているため、もしもの時には、メーカー保証だけでは足りず、保険に加入しておくことが望ましいです。保険には火災保険、地震保険、施設所有者賠償責任保険、休業損害補償の4つの種類があります。
火災保険は、火災だけではなく、落雷や風災、雪災、盗難等により太陽光発電システムに損害が生じた場合に備える保険です。自然災害が補償の対象となるほか、一般的に残存物の片付けや再発防止対策に対しても補償が出ます。
火災保険は大まかに3つの種類に大別されます。まず、普通火災保険は、火災や落雷、台風、水害などにより、保険の対象となる設備に損害が生じた場合に保険金を受け取れます。次に、動産総合保険は、不動産以外の財産(動産)のうち、火災保険や工事保険などの損害保険でカバーできないもの(破損や盗難、事故など)に対し、発生した損害を補償します。最後に、企業向け包括保険は、工場・事務所・倉庫等、企業が所有する複数の物件を、1つの契約で補償できます。なお、太陽光発電の保険としては、これら3つの補償内容に大きな差はありません。
地震保険は、地震・噴火・津波による損害を補償する保険です。一般的に、地震保険は火災保険の補償の対象外になっているため、地震に備えるために加入します。地震保険は、火災保険とあわせて契約する必要があるので注意しましょう。
地震保険は、保険の中でも保険料が高く設定されており、火災保険と比べてもかなり加入率が低いです。
火災保険や地震保険は、自らの発電所への被害を補償するものですが、施設所有者賠償責任保険は、太陽光パネルが飛散するなどして、第三者や他の建物に被害が出た場合に補償の対象となります。
他者や他人の建物などに損害を与えた場合に備えるほか、残存物片付け費用やお見舞金なども事故時の発生費用として受け取ることができます。
施設所有者賠償責任保険も、火災保険に比べて加入率は高くありません。建物の立地条件によっては、加入しなくてもリスクが低いですが、周辺に建物や住宅が多い場所や、人や車の交通量が多い場所などに太陽光発電システムを導入する場合は、近隣住民の安心・安全のためにも極力加入することが望ましい保険です。
休業損害補償は、太陽光発電システムが自然災害などで発電できなくなった際、その間の売電収入の低下などによる損失を補償する保険です。修理などで時間がかかる場合、その間の損失をこの保険で補うことができます。
太陽光発電設備を設置していると、ケーブルなどの窃盗や積雪によるパネルのゆがみ、落下物による太陽光パネルの破損など、さまざまなリスクがあります。そればかりか、自然災害が発生した場合、パネルが飛散して近隣住民に被害がおよぶ可能性も考えられます。そうなると、設備の補修費用だけでなく、近隣住民への損害賠償金なども発生してしまいます。これらのリスクに備えるために、火災保険等の保険に加入しておく必要があります。
太陽発電所の事故は、氷雪などの自然災害を中心に、設備不備や保守不備などによっても起こっており、こういった事故はほぼ毎年発生しています。事故が起こる部位は、太陽電池モジュールや架台などの支持物が多いです。
北海道で2000年以降に発生した自然災害について、いくつか紹介します。地震では、2003年9月の十勝沖地震でマグニチュード8.0、2011年3月の東北地方太平洋沖地震ではマグニチュード9.0を記録しています。火山では、2000年3月の有珠山火山で住家被害が850件ありました。風水害では、2003年8月の台風第10号、2004年9月の台風第18号、2006年11月佐呂間町で発生した竜巻により、いずれも住家全壊や半壊の被害が出ています。雪害では、2004年1月の北見地方の豪雪、2005年12月~2006年2月の豪雪、2011年1月の空知地方の雪害、2013年3月の暴風雪により、死者や住家全壊、一部損壊、半壊などの被害が出ています。
太陽光発電システムを設置するにあたっては、自然災害や突発的な事故による損害が発生するリスクがあり、このことに対する備えとして火災保険などの保険に加入することをおすすめします。そして、さらに安全を喫するなら、有償メーカー保証に入っている販売店・設置業者に依頼すべきでしょう。